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スプラッターは絶対観ないけれど: 百壁ネロ『ごあけん アンレイテッド・エディション』面白かった

ごあけん アンレイテッド・エディション (講談社BOX)

知り合いの @KINGakiko さん(キングはともかくアキコだし、アイコンがかわいいんで 2 対 1 で女性だと思います)が作家デビューされる(めでたい!)とのことで、さっそく購入しました。

あらすじ: 主人公の散町千々乃は血を見ると鼻血を出してしまう特異体質の持ち主。大学に入学してすぐにその体質から醜態をさらすものの、サークル「残酷映画研究会」の含有うるてに才能(?)を見込まれ、通称「ゴア研」に勧誘される。千々乃はスプラッター大好きなメンバーたちに囲まれて、時にはスプラッターの意外な一面に気づかされ、時にはドン引きさせられながら、大学での半年間を過ごしていく——

ごあってゴアかよ! 言われてみると確かに「ご」の濁点がちょっと血しぶきっぽい。過去、突然吹き出してしまうので電車の中で読めない本というのは何冊かあったけれど(『カマタリさん』とか)、これもそんな一冊でした。「うはあー」とか「えー?」とか独白する千々乃がかわいい。

ぼく自身は尊敬する人間 仏陀(残酷表現はNO)が信条なくらいで、スプラッター映画は絶対に観ない。ゲームのゴア表現ならギリギリいけるので絶命異次元が最高のゴア体験って男です。なのでスプラッターに関する知識はゼロ、興味はマイナスなのだけれど、それでも千々乃と一緒になって、スプラッター好きの人が楽しそうに語る様子を聞いているのは楽しく、ぼく自身が観ることはなくても、残酷映画の祝祭的な性質を知ることができる。それがとても面白かった。

「スプラッターの正しい見方はね、まず、眠くなったら必ず停めて、無理せず顔を洗いに行くこと。あと、血とか内臓が飛び散る激しいゴアシーンは、拍手したり笑ったりして、できるだけかるーい気持ちで見ることかなー……って、これは散町にはまだ早いよね」

p. 136

物語としては当然、体質的に血を直視できない千々乃がどのようにスプラッターを観られるようになるか、というのがひとつのテーマになるわけだけれど、鼻血を気にするばかりで、スプラッターを観るにあたっての障害に「怖い」「グロい」という軸がないあたり、もともと才能があったとしか思えない。

なので、『ごあけん』を読んで、スプラッターが観られるようになりました! といった、いい話は期待できません。グロはグロなので、ぼくはこの先もスプラッターからは距離を置きつつ、ただその愛好家たちの心情をいくらかは理解したつもりになりながら、暮らしていきたいと思います。物語に登場する映画はそれぞれ元ネタがありそうで、『恐々! キノコヒューマン』とか『天使のゾンビ地獄』とか、調べてみたい気が起きるのですが、下手にググったらこわい画像に行きあたりそうで手を動かせないのが、悲しいところ。

ごあけん アンレイテッド・エディション (講談社BOX)

ごあけん アンレイテッド・エディション (講談社BOX)

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